先日、会賢(フェヒョン)にあるpiknicを訪れました。
このエリアはあまり歩いたことがなかったのですが、南大門市場といえば、カラフルなパラソルが並ぶ活気のあるエリア。だからこそ、大通りから1歩入った時、突然静かでおしゃれなエリアが現れてあれっ!?と思ったのが最初の驚きでした。
そして、Instagramで見た写真をイメージしながら行ったのに、なかなか見つからないpiknic。
地図を見ながらようやくたどりついた場所には、細長い階段があり、小さく見えるpiknicの文字。

きっとその先にあるんだろう、と普通のビルのような細い階段を登っていったら、目の前に現れたのはデンマークのデザインブランド「HAY」のショールームでした。あれ、piknicに向かっていたんじゃなかったっけ。

こんな場所にHAYがある
HAYは下調べした時に気づかなかったので、「まさかこんな場所に!?」という驚きでした。でも、それよりもなによりも、その外観が可愛すぎました。

気になって調べたら、ここはpiknicの別館。たまたまここにあるのではなく、複合空間の一部として存在していました。観光地の裏という場所に、国際的なブランドが根を下ろしているのは面白いですよね。
製薬会社のビルが文化空間に
piknicは、1970年代に建てられた製薬会社の社屋を改装した建物。古い構造の一部を残しながら現代的に手を入れており、主に赤レンガの外観です。

裏から入ってしまって、表の写真を撮り忘れました!
中は、展示室・カフェ・ショップ・屋上が組み合わさった構成。展示を登って行ったら屋上、屋上からエレベーターで降りてカフェ、カフェを出たらショップへ、と回遊したくなる空間でした。
立地としては、ソウルの中心部で、交通量も人通りも多いエリアなのですが、建物に入ると外の喧騒から遠ざかる。こうしたエリアに美術館をはじめとした複合施設があるのは素敵だなと思いました。
開催中の展示−COMPANY World Affairについて
訪れた時に開催されていたのは、ヘルシンキのデザインスタジオ「COMPANY」の展示。世界各地の市場や職人を訪ね歩き、その土地の手仕事を作品としてかたちにしてきた人たちの、20年以上にわたる活動を見せる内容です。
展示の中には日本の手仕事を題材にしたパートを見つけて嬉しくなったり、遠い国のものづくりに想像を膨らませたり。素材や技法を入口に、各地の暮らしの記憶を辿っていくような構成で、ものづくりに関わる人ほど見応えを感じる展示だと思います。



最後の展示が終わったあと、進路が分からずキョロキョロ。
よくよくみたら奥に扉がある。

行っていいのかソワソワしてしまって、他の人が行くのをじっと待ってた。
その扉を開けて登っていくと屋上に。


この先は椅子と、下の階につながるエレベーター
屋上のモニュメントも可愛くて椅子もあり、ここでぼんやりするのは至福の時間だなと感じました。
展示が終わっても、空間は続く
piknicが面白いのは、展示を見終わっても体験が途切れないこと。一通り見て、コインロッカーで預けていた荷物を受け取ったら、その目の前にあるカフェへ。

カフェ内部はゴージャスなシャンデリアがいくつも連なり、カラフルな椅子が並ぶ、一見派手なインテリア。それが、大きな窓と外の緑で、見事に癒しの空間となっていました。周囲には、パソコンで作業する方々もいたので、私も席について作業。居心地が良くてついつい長居してしまいました。

カフェの後は地下のショップへ。
書籍や雑誌をセレクトしてある店内は、洗練されたアイテムが並んでいて、ショップに行くだけでも楽しめます。
古い木製の什器に、COMPANY World Affairで見た展示が並んでいて、展示から体験が続いているのを感じました。



ここではポストカードやステッカーを購入。素朴な絵のタッチが本当に可愛いです。

降りる時に気づいたこのエリアの楽しさ
ショップから、元のHAYに戻り、街を見下ろしてみたら、この一角だけオシャレな建物が集合するエリアなことに気づきました。目の前に見えるのは、Local Stitch Hoehyeon(ローカルスティッチフェヒョン)という複合施設。ここもカフェや飲食店、書店など多様なスモールブランドが集まる空間でした。こちらも今度行ってみなきゃ。

大通りから1歩入って、空気が変わって最初にあれっ!?と感じたのは、このLocal Stitch Hoehyeonとpiknicが隣接しているからということにも気づきました。ソウルの他のエリアでも感じることですが、こうした文化施設が固まっている地域というのは、歩いていてワクワクするもので、ソウルの街の面白いところだなと思いました。
残すことと、つなげること
ここまで見てきて、もし日本で再現するなら、と考えながら歩いていました。piknicの面白さは、展示の空間がそのままカフェ、地下のショップ、さらには海外ブランドのHAYまで、同じ世界観で地続きにつながっているところです。機能を「足した」というより、ひとつの体験として「つなげた」感覚。カフェやショップを併設する事例は日本にもたくさんありますが、ここまで一体感が出るのは、それぞれが同じ密度で作り込まれているからだと思います。
そして、古い建物の活かし方もとても上手い。元は製薬会社の社屋という、文化施設でも商業施設でもなかった建物が、構造を生かしたまま魅力的な器になっています。日本でいうと、京都の町家を壊さずにカフェやショップへ生まれ変わらせる、あのリノベの感覚に近いかもしれません。まっさらにして新しく作り込むよりも、何を残して何を引くかの判断が、空間の個性を決めているように感じました。
ソウルには、こうしたまだ知らない土地がたくさんあります。
色々な新しいエリアを探しながら、今後も街歩きを続けていきたいと思います。

